【EVENT REPORT】7/18(土)更生支援セミナー(第2回)を開催しました。

更生支援セミナー第2回はオンラインで開催

本年2月の開催以来、新型コロナウイルス感染症の流行により中断を余儀なくされていた「更生支援のための地域連携を考えるセミナー」ですが、このたび7月18日(土)その第2回をオンラインで開催することができました。
横浜市内にとどまらず、石川県、岐阜県、島根県など全国各地からお申し込みがあったのは、オンラインセミナーならでは。
お申込者限定の配信にもかかわらずリアルタイムで39名の方にご参加いただきました。
開催後、録画映像を関係者を対象に限定公開したところ130回以上の再生がありました。
多くの方が再犯防止・更生支援に関心を寄せてくださっていることを心強く思います。


今回のオンラインセミナー開催に理解と賛同を示してくださったのは横浜ダルク・ケア・センター。
本セミナーは横浜ダルクのスタッフ2名をお招きし、YouTubeライブで配信しました
今やダルクの名は広く知られているところですが、その活動まで知る方はそう多くないと思います。
そこで導入パートとして、横浜ダルクのスタッフからダルクの歴史と活動についてご説明いただきました。

第1部:講演スタート

ダルクは薬物依存症を治療が必要な「病気」と捉え、その回復を支援する民間リハビリ施設です。
1985年の東京ダルクに始まり、現在では日本全国で約90施設が運営されています。
横浜ダルクは東京、名古屋に続く3番目のダルクとして1990年に横浜市南区で活動を開始しました。
横浜ダルクでは、自分自身と向き合うためのミーティングを行うデイケア事業と、宿泊して共同生活を営む(=寮)ナイトケア事業を運営しています。
ダルクの特徴は、回復を目指す利用者はもとより、スタッフも含めた全員が元・薬物依存症者という点にあります。
当事者同士だからこそ、自分の弱さを見せられるし、今苦しんでいる仲間に対して「俺もそうだったよ」と共感できるのだといいます。
スタッフお二人から、ご自身の薬物依存症にかかる体験を語っていただきました。
お二人の体験に共通していたのは、薬物使用への入り口は、誰の日常にでも起こり得るような些細なきっかけだったということ。
依存症は決して「真面目に生きている私には無縁のもの」ではないということです。
最初は自分が好きで薬物使用していたはずが、次第にコントロールが効かなくなってゆき、気付いたときには仕事、金銭、健康、友人すべて失っていた。
家族や支援者の手引きでダルクに繋がったとき、お二人が薬物依存症になって既に数年~数十年が経っていました。
ようやくダルクに繋がったお二人を変えたのが、同じ依存症回復を目指す「仲間」の存在でした。
お二人は回復プログラムを終え、それぞれ8年、4年の断薬を続けておられますが、それでもまだ回復の途上だといいます。
「依存症の仲間を助けたい思いはもちろんだが、自分自身の回復のためにスタッフをやらせてもらってると思っている」
薬物依存症に完治はありません。
しかし彼らのように薬物の支配から抜け出し、回復することはできるのです。

第2部:質疑応答&トークライブ

セミナー後半、質疑応答を交えたトークライブを開催しました。
「自分に向き合えなっかったのはなぜですか」との質問に、登壇者のお二人の答えは共通していました。
「自分の失敗―自分が依存症だということーを認めたくなかった」
私は、この言葉を重いと感じます。
今なお日本社会では、依存症を「失敗」「恥ずべきこと」と捉える風潮が根強いことを表しているからです。
だから隠さなくてはならないし、認めることができない。
依存症は適切な治療で回復可能な病気なのだと、私たち一人一人が認識を改めることで、この風潮は変わっていくと思います。
逆に「自分に向き合えるようになったのはなですか」という質問には「ダルクには依存症の自分を裁く人がいなかった」「もう一人悩まなくていいと言ってもらえた」と回答されたお二人。
ここでもやはり「仲間」の存在が、二人を変えたことが語られました。
地域連携に関する質問については、横浜ダルクが刑務所での講演や保護観察所での回復支援プログラムを通じて連携していることが紹介されました。

横浜ダルクが抱える課題

一方で課題についても語られました。
それは薬物依存症者の多くがダルク等の支援に繋がらないこと。
今回ご講演のお二人も、ダルク入所までに長年を要したと述べられていました。
またダルクで薬物依存症を克服したあとの社会復帰に関して、就職先や受け入れてくれる障害者作業所が少ないという課題もあるとのことです。

おわりに

最後に、セミナーを視聴してくださっていたNPO法人Hatchの細川慎一さんとNPO法人Y-ARAN(横浜依存症回復擁護ネットワーク)副理事長の市原誠さんからコメントしていただきました。
(細川さんと市原さんにはセミナー第1回の講師としてご登壇いただいたご縁で、セミナー第2回の実現にも全面協力いただいております。)
お二人からも、罪に問われた障害者や依存症者を支援に繋ぐ必要性と難しさが語られました。
刑罰ではなく支援が必要な方を、刑事司法手続きの入り口および出口で、いかにして福祉に繋ぐか。
そのためには民間だけでなく国や刑事司法機関を巻き込んで議論していく必要があると感じました。
民間による再犯防止・更生支援が叫ばれる遥か以前から、地道な活動を続けてきた横浜ダルク。
彼らの活動から地域連携の必要性と課題が垣間見えた貴重な機会となりました。

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