寿地区で働く女性にお話を聴かせていただきました ~小西祐子さん(健康コーディネート室)~

  

男性が多い寿地区。ですが、働いている人々は女性が多い印象を受けます。福祉のまちと呼ばれるようになった現在では訪問介護員、飲食店やスーパーの店員、病院や福祉作業所や公共施設の職員などさまざまな人々が働いておられます。寿地区で働く女性たちに話を聴くことで、新たな視点で見えてくる“寿のまち”があるのではないか?女性の視点から語られることが少ないこのまちで根を張り、時に厳しく時に温かく地道に関係性を築き上げている女性たちを皆さんにご紹介したいと思います。

  

“寿地区で働いている女性”と聞いて私の頭に一番に浮かんだのは、ことぶき協働スペースの真横にある健康コーディネート室の室長である小西 祐子(こにし ゆうこ)さんであった。

小西さんは寿町健康福祉交流センターの立ち上げから関わっていた一人であり、それ以前は横浜市の保健師として長年働いておられた。

そんな小西さんにお話を伺う機会を得た。

  

  

  

―――寿地区で働くきっかけ

約30年前に2年間ほど寿地区の地区担当になって保健師として関わっていたことがあったが、当時は結核の患者が多く感染症対策でとても忙しかったため、心のどこかにやり切れていない感があり、寿地区にはずっと関心があった。

そんな時に地区内に新しい施設が建てられることを知り、しかも健康コーディネート室が新設されるなんて、寿地区にとって夢のようだと思い、町の様子も住んでいる人も変わってしまったけど、原点に戻ったような新鮮な気持ちで働き始めた。

 

―――仕事内容

健康コーディネート室は保健師と管理栄養士等4人が常駐しており、1日40~50人位の人が訪ねてくる。

健康とは全く関係ないよろず相談室的なこともして、必要だったら関係各所に繋いだり時には保健師が行政担当者と体調不良者の緊急訪問に同行することなどもある。

健康相談では、できるだけ具体的にアドバイスするように心掛けており、特に食事に関することは毎日の事なので、少し変えるだけでびっくりするほど健康状態が変わる人もいる。

こちらが驚くほどをきちんとアドバイスを実行して、それを報告してくれる人もいるのでスタッフ一同とても嬉しく、日々良い方に変わると信じて仕事をしているが、それでも想像以上に改善する人が多く、とてもやりがいがを感じている。

 

―――寿地区で働いて感じること

寿地区には約束をきちんと守るような、真面目で律義な人が多い。

「健康相談の約束をしていたのに行けなくなった」と公衆電話から電話してくれる時は、その丁寧さにこちらが驚かされるほど。

正直で素直な方も多く、今までの仕事にプライドを持っている方など、人として魅力的な人も多い。

狭い部屋の中に一人で生活している人たちの、本当に望んでいることを知らないと、本当の意味で役に立てないのではないかと感じるし、やるべき事は一人一人と丁寧に対応する中で、一人一人の心を見せてもらうことで掴んでいくしかないと思う。

数値やデータなどの調査研究も有効だと思うけれど、時間をかけて何が必要とされているのか知りたいし、数字に表れない実態を足や言葉や心で知っていきたい。

  

 

―――寿地区の縁や繋がりについてどう思いますか?

完全に孤独な人ばかりじゃない。

家族や故郷と連絡を取り合っている人もいるし、寿地区内で関係を築き合って、心配し合っている人もいて、仲間意識とか連帯感とか、そういう繋がりが確実にある。

何かあったらお互いに助け合うお互い様の精神があるのかもしれない。

この場所で喧騒にもまれることも無く、ゆるやかな繋がりを持ち、穏やかに過ごしたいと考える人もいる。

 

―――仕事で心掛けている事

寿地区に関わる人たちが相談できたりホッと一息ついたり、居心地の良い場所になりたいと思っている。

「来てくれたあなたの為にできる事は何か?」と常に思いながら来所者と対峙しているし、会話を通して徐々に現状が見えてくることもあるのでコミュニケーションは大切にしている。

健康診断が正常値であっても、心の健康までは分からない、健康観は様々だし、関わりの中で見えてくる個々の問題や健康診断の数値に表れていない部分のケアもしたい。

共にその問題解決に向けて戦う同志、パートナー、伴走者でありたいと思っている。

 

最後に、「私たちはまちの保健室みたいな存在かな?と思っている。じっくり何でも受け入れようと思いながら働いている。このような職場で、いつも一生懸命なスタッフと仕事できていることを感謝する日々。

他地区からこのまちに関わっている人や働いている人も疲れたらいつでも立ち寄っていただいてウェルカム!」と笑顔で言ってくれた小西さん。

お話をお伺いして感じたのは、常に来所者の気持ちに寄り添って関わり合おうとしてくださる温かさだった。

何かあったら小西さんがいる、健康コーディネート室に行けば大丈夫、という安心感はとても心強いだろう。

寿地区には無くてはならない小西さんや健康コーディネート室という存在があり、見習うべきところがたくさんあると感じた。

小西さんが長年の経験を通して培った貴重なお話を伺うことができたことは、私自身にとってもとても大切な時間となった。