寿地区で働く女性にお話を聴かせていただきました ~岩崎八千代さん(ぷれいす)~

     

男性が多い寿地区。ですが、働いている人々は女性が多い印象を受けます。福祉のまちと呼ばれるようになった現在では訪問介護員、飲食店やスーパーの店員、病院や福祉作業所や公共施設の職員などさまざまな人々が働いておられます。寿地区で働く女性たちに話を聴くことで、新たな視点で見えてくる“寿のまち”があるのではないか?女性の視点から語られることが少ないこのまちで根を張り、時に厳しく時に温かく地道に関係性を築き上げている女性たちを皆さんにご紹介したいと思います。

     

NPO法人寿クリーンセンターが運営している就労継続支援B型ぷれいすの管理者兼サービス管理責任者である岩崎 八千代(いわさき やちよ)さんにお話を伺いました。

    

   

     

―――働き始めたきっかけは何ですか?

以前、寿地区の近くにある不老町地域ケアプラザの地域活動交流コーディネーターとして働いていた時に、地域福祉保健計画策定について寿地区内でも検討の話し合いが行われ、そこに私も関わっていました。5部門の中の、障がい部門で、NPO法人寿クリーンセンターの立ち上げに関わったことをきっかけに、2016年に就労継続支援B型事業所の開設が決まり、ぷれいすで働き始めました。   

    

     

―――仕事内容について、教えてください

利用者さんは宅配用の封筒のシール貼りなど企業からの受注作業や、パソコンの基盤解体、簡易宿泊所や寿町内清掃、区内の公園清掃、また、簡易宿泊所間の引っ越しなども行っています。
私は、管理者兼サービス管理責任者として、利用者さんの話を聞いたり、訪問したり、各人の個別支援計画作成をしたりしています。大事なことは、個別支援計画に基づいて、生活支援員や職業指導員が、各人の生活支援や作業所内外で作業指導等を行っていることです。職員は利用者さんから話を聞くことを大切に考えています。話の中から、課題や思いを知り、その人にとっての支援を職員内で話し合い、共有しています。

   

   

―――働く中で意識していることはありますか?

私たちは、話を聴くということを心がけています。職員の誰もが、利用者さんの話を聴き、気軽に話ができる雰囲気作りを大切にしています。そして、話された内容については共有していくようにしています。
ぷれいすの利用者さんは、様々な障がいや疾患、依存症を抱えています。それぞれが持つ課題はそれぞれで異なるし、みんな一緒ではないので、その一人ひとりの持つ課題に対して、私たちはどのような支援の仕方があるのかを会議の中で話し合いを行い、作業を通して、関わっています。20名近くの方がいるので、私たちも利用者さんも、日々、感情的になったり、揉めることもありますが、そのやり取りについて、それはそれで楽しいことの一つと思っています。
そして、ぷれいすの名前の通り、それぞれの「ぷれいす=居場所」であってほしいと思いながら働いています。

   

   

     

―――縁や繋がりの希薄についてどう思いますか?

寿に住む人は孤独の中で暮らしていると思います。日中は、仕事に行ったり、ヘルパーさんが来てくれたり、日当たりのいい場所で将棋を指したり、顔見知りの人と話したりなどで過ごしているようですが、夜は簡宿の部屋でどう過ごしているのかなと考えます。中々、寝られないと訴えてくるぷれいすの利用者さんもいます。
これは寿の中だけではなく、今後の自分自身のことかもしれないと思います。
地域福祉計画の中で、地域や隣近所の繋がりについて、まず挨拶をしようということが出ました。何気ない「おはよう」や「体調はどうですか?」などの声掛けがホッとした気持ちになるかもしれないと思っています。

   

   

―――長年関わってきたこのまちについて、どう思っていますか?

寿地区は、戦後の歴史的背景の中で、差別や偏見を持たれるようになったと思います。今では、以前ほどの差別や偏見は無くなってきているのかもしれません。寿に関する本や資料を読み、地域の人の話を聞き、寿とは怖い街と思っていた自分がいました。以前の職場で、寿に関わる講座を開催し、寿町の歴史を学び、寿の中で仕事している人、暮らしている人など様々な方と知り合うことが出来ました。地域福祉保健計画でも埋地地区の中の一つの町でありながら、埋地地区とは別の寿地区として地域福祉保健計画策定の取り組みが持たれましたが、そこで、どうしてと感じましたが、その時は、まだ、寿のことを何も知らなかったと思います。でも、地域福祉保健計画の策定の中で、いろいろなことが取り組まれました。
今、健康交流センター前で行われているラジオ体操や、花いっぱい運動、ことぶきゆめ会議など多くのことが、寿に関わっている人たちの地道な活動で続いていると実感しています。寿も他の地区と同様に、高齢化が進んでいます。それに伴い、多くの介護事業所や寿の実態に即した介護サービスもあり、高齢者を支えていると思います。障がいを持つ人たちに対しても、同様なことが言えると思います。寿クリーンセンターもぷれいすも小さい存在ですが、だれかを支える存在でありたいと思っています。

   

   

―――岩崎さんが伝えたいことはありますか?

私が寿に関わらせていただいて、15~6年になります。様々な人と出会い、いろいろなことを学ばせていただきました。そして、その時には想像も出来ないくらいのスピードで、寿の町が変わっていっていると感じています。その中で、私にとって、寿とはどんな存在なのかを考えています。同時に寿の未来に関心があります。健康交流センター建て替えをはじめとして、簡易宿泊所の建て替えも進んでいます。建物だけでなく、住んでいる人や関わっている人なども変化しています。
今は、寿は仕事をする場ですが、それだけではなく、その仕事や様々な行事等も含め、人と人との繋がりに関わっていけたらいいなと思っています。

   

    

岩崎さんは「ぷれいす」で働かれる以前から長年に亘ってボランティア活動を通して寿のまちと関わってこられました。夜回りパトロールを始め、識字教室など数多くの支援者の皆さんと共に移り変わる寿のまちを見守ってこられたのだと思います。ライフワークとしてこのまちに寄り添ってきた岩崎さん、共に歩む存在としてこのまちを捉えている気持ちが窺えました。私も岩崎さんと同様、急速に変化していくこのまちのこれからが楽しみです。