【イベントレポート】暮らしのヒント発見ラボ Vol.2 -横浜市障害者プランから地域共生を考える-障害福祉とテクノロジーをつなぐ

暮らしのヒント発見ラボ Vol.2 障害福祉とテクノロジーをつなぐ

横浜市第4期障害者プランについて

田辺興司さん(健康福祉局障害施策課)

「障害者プランを読みとき、地域共生を考える」という今回のイベントの副題からの視点で、行政が構想しているICT活用の方向性の説明。特に障害福祉事業所や、GIGAスクール構想も踏まえた教育分野での活用を想定。障害者プランは6年間の中長期的な行政計画であり、法律により策定が義務付けられています。課題として、技術の進歩のスピードは速いので「何が出来るのか」「(地域生活や支援の)どの部分に技術活用の必要性があるのか」の見通しをつけることの難しさがあります。

とはいえ、活用の可能性は無限大で、どの領域でも生かせる余地が充分あります。また、横浜市第4期障害者プラン全体を通して大切にしている考え方は、障害の社会モデルです。障害の社会モデルでは、社会の側に障害があることで、生きづらさを感じる方々がつくられていると捉えています。今後、テクノロジーを活用することで、その壁を取り除いていくことが求められます。

cafe ツムギstation からのカフェ接客就労の事例

OriHime(オリヒメ)はオリィ研究所が開発した、難病や外出困難の方が接客などの社会参加や就労できることを実現した分身ロボットです。

小さなデジタル推進室 Instagramより

cafe ツムギstation at Yokohama Kannai は、横浜市健康福祉局が設置し、株式会社 JR東日本フーズが株式会社 オリィ研究所の協力を得て運営しています。カフェ運営を通じて、障害者雇用の場の創出、障害者就労に関する情報発信など、市民や企業等の理解を促進する活動を行っている、障害者就労啓発施設です。

オープン直後にコロナ禍に直面し、客足が遠のいてしまってきた困難もありましたが、コミュニケーションロボットであるOriHimeを通じた、パイロットさんとのゆるやかな対話を楽しんでいただける。そんなお客さんが少しずつ増えてきている実感を感じています。

マサコさん(OriHimeパイロット)

一方通行にならず自身の人柄もお客さんに感じてもらえるような、気持ちを開いたコミュニケーションを、接客する上で心がけています。ロボットを通すことで、直接言いにくいことが話しやすくなるメリットも感じています。そして、店員とゆっくりお話しながらお茶やお食事を楽しめる体験は、普通のカフェには無い良さだと思うので、そういう部分をもっと知ってもらいたいです。

かたるべ会のコロナ禍に対応する取り組み

平野さん・藤本さん(かたるべ会)

社会福祉法人 かたるべ会は、知的・精神・身体の障害を抱えた方を中心に、緑区・都筑区・青葉区を拠点に、日中活動事業所・グループホーム・放課後等デイ・余暇支援などの活動を行っています。コロナ禍に対応する取り組みとして、Zoomを活用した7つの取り組みを紹介して下さいました。

  1. 販売活動
  2. 音楽イベント
  3. 入社式
  4. 旅行
  5. 葬儀
  6. 職員研修・会議
  7. 採用活動

遠方にいて今まで参加が叶わなかった方や、困難があることで外出が難しかった方が、Zoomの活用によって参加できたことが大きなメリットです。また、Zoomでの販売活動では、お客さんにとってはまだ慣れていない形式への戸惑いは正直なところあると思うが、無人での販売(釣り銭をとられたりしないか?)を心配し、お気遣いの気持ちで助けていただけたという良さもありました。

参加者話を交えたZoomでの集合写真
参加者話を交えたZoomでの集合写真

クロストーク

ゲスト登壇者を交えたクロストークでも様々な意見が飛び交いました。

・行政計画の中に位置付ける難しさはあるが、今回、紹介があったような現場での苦労や工夫をまず知って、それを伝えていくことが大切と改めて感じた。

・コロナ禍が明けても、ハイブリットを継続することが大切で、そうすれば今まで何らかの理由で参加できなかった方も参加できる良さがある。

アイデアソン

今回、多様なアイデアや発想を生み出しやすくするために、オンラインホワイトボードツールの「miro」を活用したアイデアソン形式の対話のワークを行いました。

新型コロナウイルス感染症対策でオンラインでのイベント開催が求められる中、不慣れなオンラインでの対話を、少しでもやりやすくするために、対話を可視化することに着目しました。新たなツールを不自由なく使いこなすには少々慣れも必要ですが、見える化した言葉を即座に伝えられるというメリットを感じることができました。

対話を通じて、障害や生きづらさを抱えていてもいなくても、市民がより自分らしく地域で暮らしていけるためのアイデアを、参加者の方々から沢山いただきました。このように、対話を円滑にすすめ分かりやすくするための工夫を、引き続き模索していきます。

miroで作成した街
miroで作成した街

今後に向けて

ことぶき協働スペースは、暮らしを支え、豊かにするために、テクノロジーのより有効な活用法を研究・実践を続けている「小さなデジタル推進室」事業を行っています。共生社会に向けて、障害を抱えた方々のテクノロジー活用での社会参加・就労の事例をお伺いするイベントだからこそ、そういう技術的に新しいことにも、先ずチャレンジして何とかモノにしようという想いを込めて取り組みました。

「分身ロボットOriHime」の開発も、エンジニアの方の大変な努力・試行錯誤の積み重ねがあってこそ、実装が出来たのだと思います。それは、障害や生きづらさを抱えている方の社会参加や、働きの幅を何とかして広げて、希望や気持ちを届けたいという、開発者の心のこもった信念があってこそです。テクノロジーはややもすると、心がこもってない、気持ちが伝わってこないなどと揶揄されることもありますが、それを実装する過程に、人の気持ちがあって初めて完成するモノだということを、きちんと尊重したいと思います。

ことぶき協働スペースでは、引き続き人の暮らしやすさや豊かさ・ウェルビーイングの向上に向けて、幅広くアンテナをはりながら、みなさんと共に学び合い、アイデアの創出を目指していけたらと考えています。

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