Buddy No. 6

西 六男 さん

ボランティア
幅広い活動を通して「記憶」を取り戻す試み
 1月下旬、ふらりとことぶき協働スペースを訪れた男性。西と名乗るその男性は、昨年11月27日以前の記憶がないといいます。「横浜駅で目が覚めました。なぜこんなところで寝ていたのか。そもそも自分が誰なのか。何も思い出せないことに気付きました。財布など身元が分かる物は持っていませんでした。今思えば、正常な判断ができていなかった。警察や役所に駆け込むことなく、そのまま路上で生活していました。覚醒から12日後、福祉団体の方に声を掛けられ、ようやく西区役所を訪れたのです。」そこで「西六男」という仮の名を与えられ、生活困窮者の一時保護施設「はまかぜ」に入所しました。 診察の結果「解離性健忘症」と診断されました。
 記憶がない、時おり強い頭痛がすること以外いたって健康な西さん。じっとしていても何も始まらないと失った記憶を取り戻すべく積極的に行動されています。当スペースで開催した数々のイベントには、参加者としてだけでなく運営スタッフの一員として携わってくれました。さらに毎週金曜日の炊き出しボランティアに参加。また文章を書くのが得意とのことで、ボランティアライターとして3月号の「ことびと」を執筆していただきました。
 スタッフやご友人と会話する中で、断片的に記憶が戻ることもあるようです。たとえば詩人の故・吉野弘さんの自宅を訪れたことなど…。自立した生活への設計を日々考えておられるという西さんは、引き続きボランティアにも関わっていきたいと希望されています。私たちは医療機関ではないので、彼の記憶を取り戻すお手伝いはできませんが、西さんの新生活が一層充実したものになるよう、ことぶき協働スペースは今後も応援し続けていきます。
※ 取材・撮影・執筆に関しては、予めご本人の了解を得ております。
掲載: 寿TERRACE 第10号